幸福のお話

あなたの人生の目的は、なんでしょうか?

 

お金持ちになることでしょうか?

 

素敵な異性と、結婚することでしょうか?

 

地位や、名誉を持って、他人から尊敬されることでしょうか?

 

 

競争の社会で、目的を叶えるのは、なかなか難しいものです。

 

だけど、その願望が、仮に、叶ったとしたら、どうでしょう?

 

幸福でしょうか?

 

 

答えは、私は、NOだと思います。

 

欲しいものが、手に入ったその時は幸福でしょう。

 

しかし、また、別のものが欲しくなるはずです。

 

対象が、変わるだけで、いつまでたっても満足出来ません。

 

ずっと、欲求不満のままです。

 

 

 

世界の難民や、貧民層の、恵まれない子供たちから比べると、私たちは、はるかに幸せな生活を送っています。

 

衣食住に、パソコン、携帯、車、本 etc…

 

持っているものも数え上げたらきりがありません。

 

恵まれない子供たちから見れば、とても、羨ましくて、満足出来ないと言っている私たちが信じられないはずです。

 

その子たちにとったら、お腹いっぱいに食べれることが、なによりも幸せなはずなのですから。

 

 

 

 

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテという人がいます。

 

ドイツ最大の文豪といわれる人で、彼の作品に「ファウスト」という戯曲があります。

 

これが、どういう、お話かというと、ファウストという強欲な学者がいて、あらゆる学問を勉強しましたが、わからない事が一つありました。

 

人生の目的、意義についてです。

 

何かを目標にして、生きようとすると、だいたいそれは、何かしらの欲望と結びついています。

 

欲望というのは、厄介で、追い求めて手に入れたとしても、新たな欲望が生まれて来て、いつまでたっても満足できない状態です。

 

永遠の欲求不満です。

 

いつまでたっても、満足できない欲望を、目標にすることが、そもそも間違いなのかもしれません。

 

ファウストは学問以外にも、魔術や、錬金術の知識も、持っていたので、魔術を使って、悪魔メフィストを呼び出し、契約を交わします。

 

人生の意味を教えてくれたら、命を取られても構わないと…

 

それから、人生の目的を探す様々な旅が始まります。

 

メフィストは、ファウストの魂が欲しいので、あの手この手で、彼に、いろいろな人生を歩ませて、満足させようとします。

 

だけど、なかなか、ファウストの納得のいく、人生の答えが見つかりません。

 

 

どれも、これも、一時的な満足で終わります。

 

そして、やっと、ファウストは、究極の人生の目的の答えを見つけます。

 

それは、自分の欲望を捨て去り、万人の為に自由な国を建設しようとした時でした。

 

欲望へのこだわりを突き抜けて自己を超越し、利他の状態に至った時に、初めて、彼は、幸福を感じたという物語です。

 

これは、ゲーテの創作なので、その答えが、本当に正しいのかどうかは、私には分かりません。

 

でも、答えの一つの例えとして、自分の人生の参考にはなると思います。

 

 

人生の目的は、欲望を、どう捉えるかが、昔から論点になってきました。

 

ギリシャ哲学では、快楽を得ることを、人生の目的にするのが幸福だとする「エピクロス派」と、理性によって、快楽を制御することを人生の目的にするのが幸福だとする「ストア派」が、ずっと争ってきました。

 

 

どちらが、正しいのかは、人によって意見が分かれるところです。

 

もともと、幸福も、良心に属するもので、比べることの出来ないものです。

 

 

例えば、あなたが、テストで、60点を、取ったとします。

 

60点は、あなたにとって、幸せでしょうか?

 

それとも、不幸せでしょうか?

 

 

こう聞かれても、あなたは、幸せか、不幸せかは、

 

答えられないはずです。

 

何故なら、60点は、幸せでも、不幸せでもないからです。

 

だけど、自分以外の、みんなが、0点だったら、

 

60点は、どうでしょう?

 

幸せに、感じるはずです。

 

今度は、自分以外の、みんなが、100点だったら、60点は、どうでしょう?

 

今度は、逆に、不幸せに感じるはずです。

 

このように、他人と比較することで、60点が、幸せになったり、不幸になったりします。

 

これを「相対の幸福」と言います。

 

この幸福は、先程の、ファウストが、むなしさを感じた欲望の幸福と、まったく同じです。

 

周りに左右される幸福です。

 

何が言いたいかというと、人と比べて、喜んだり、悲しんだりすることほど馬鹿らしいものはないんだということです。

 

競争は、向上心を生むと言います。

 

それは、人と、比べることに慣れてしまった現代人の考えだと思います。

 

本当に優れた人は、自分の理想のイメージがあって、そこに、現実を近付けるために努力する人だと思います。

 

いちいち、人と比べたり、競争したりしません。

 

人が、さぼっていようと遊んでいようと関係のない事です。

 

人と比べるのではなしに、自分自身の目標を持って努力し、生きていくのが幸福でもあり、理想の姿のように私は思うのです。